【2006年版:世界の淡水フグの紹介】
※2006年に執筆したものですので、2018年現在では、誤った内容も含まれております。
■東南アジア
東南アジア最大の川、メコン川流域は、沢山の種類のフグが生息しています。中には種の判別が困難な種や新種登録されていない種なども多く、まさに淡水フグの宝庫と呼ぶにふさわしいところです。
| 未登録種 | 未登録種![]() |
ラオス北部で採集された新種![]() | マライアンパファー![]() |
昔、珊瑚礁だった山

実際メコン流域へ行くと本当に多くの淡水フグを見ることが出来ます。中にはどの種に特定したらいいのかわからない種も多く、非常に悩まされます。中には、混雑種であろう種も数種類、確認されました。 また、タイ北部やラオスには、未だ発見されていない新種も多く、清流域の全長3㎝の石の下に生息するフグの生息情報や、数種類の新種らしきフグ、未登録のフグを採集することが出来ました。
| マライアンパファー | レッドスポットメコンフグ![]() |
スバッティ![]() | アイスポッテッドパファー![]() |
バイレイ![]() | アベィ![]() |
ブロンズパファー

■インド、ミャンマー、バングラデシュ
ミャンマーを流れるブラフマプトラ川からインドにかけて、ククッティア種(エメラルドパファー)がいます。エメラルド色の美しい体色に尾の先端が赤く染まる小型の美しいフグです。タイ西部やマレー半島の北部にも生息しています。
エメラルドパファー

エメラルドパファー

インド南部、スリランカからは、世界最小のフグ、トラヴァンコリクス種、通称アベニールパファーが知られています。2.5㎝から繁殖可能で、雌雄の判別が容易なことから繁殖例も多いです。またフグには珍しく集団で生活していることも知られています。ただし、結構イタズラ好きで、気に入らない相手の鰭や肉を齧ってしまうので、水草や流木で複雑に水槽内をレイアウトする必要があります。また、アベニールパファーは現在カリノテトラオドン属に属していますが、1種1属のフグである可能性が高いです。
■ボルネオ島、スマトラ島
アジア大陸の南に位置するボルネオ島やスマトラ島にも数種類の淡水フグが生息しています。島に広がる広大なジャングルは世界最古ともいわれており、樹木が落とした大量の葉は川底に沈み、葉の養分タンニンが染み出した川は赤や黒に染まり、水質は酸性に傾いています。そのような色がついた川はブラックウォーターと呼ばれ、特殊な環境を形成しています。そのような特殊な環境に特化したフグを紹介します。 まず、顔が’ダルマ’のようなパレンバンゲンシス種(レオパードパファー)。ボルネオ島、スマトラ島のインドネシア領に多く生息しています。大きさは20㎝と中型のフグです。また、別名スマトラパファー、ジャンビーとも呼ばれているように、スマトラ島のジャンビーからの入荷が多いようです。体の横には目のような模様がいくつかあり、大変臆病なフグです。 またレオパードパファーによく似た種で、ハイゲンドロフズ種がいます。生息地はボルネオ島のカプアス水系、パレンバンゲンシス種より小型で10㎝を超えることはないようです。現在のところ、日本への入荷は確認されていません。
レオパードパファー![]() | ハイゲンドロフズパファ![]() |
タイアカメフグ![]() | タイアカメフグ![]() |
ロルティッティ種(タイアカメフグ)は、水質の変化に弱い面があり、飼育は淡水フグの中で一番難しいでしょう。オスは繁殖期に全身メタリックパウダーブルーに染まり、背びれ、尻びれが赤く染まります。生息域は、タイ、ベトナム、カンボジアですが、スマトラ島の北部にも生息しています。イルベスコ種(レッドテールアカメフグ)の生息地はボルネオ島の西部の一部とスマトラ島。体形が細長いことが特徴です。性質は比較的大人しいほうですが、オスは成長すると同種に対して気が荒くなります。繁殖期には、尾びれから頭部にかけて赤く染まり大変美しくなります。
ボルネオアカメフグ![]() | サリバトール![]() |
ボルネンシス種(ボルネオアカメフグ)は、ボルネオ島の限られた地域に生息しており、オスもメスも頭部に鮮やかな黄色の▽(逆三角模様)が確認出来ます。ブラックウォーターでも生息が確認されていますが、汽水の影響を受けるアルカリ性の河川にも多く生息しています。2006年現在、残念ながら日本への入荷はありません。サリバトール種(タイガーパファー)は、虎柄模様の淡水フグの中で最も美しいフグです。ボルネオ島のマレーシア領に生息していますが、ジャングルの開拓で年々数を減らしています。ブラックウォーターでも生息が確認されていますが、中性のやや流れのあるクリアウォーターの川にも生息しています。日本への入荷は非常に稀です。
■アフリカ
アフリカ大陸には魅力的なフグが多数生息していますが、日本から遠く離れていること。治安、風土病、運送費などの問題から、なかなか入荷されない状況が続いています。ブームも下火になり、今後アフリカの希少種を手に入れられる機会はさらに少なくなりそうです。よく入荷されるのは、リネアトゥス種、ミウルス種、ムブ種の3種。入荷数が少ないのは、ドゥボイシィ種、入荷がほどんどない種はショウテデニィ種、パストゥーラトゥス種となります。これらがアフリカに生息する代表的な淡水フグです。ただし、リネアトゥス種とパストゥーラトゥス種は汽水域にも生息している可能性があります。
ムブ(幼魚)![]() | ムブ ![]() |
ファハカ(幼魚)![]() | ファハカ ![]() |
ミウルス![]() | ドゥボイシィ![]() |
ショウテデニィ

ショウテデニィ種は、コンゴ川で採集されるフグの中で最も希少な種です。時折、ムブの幼魚に混じって輸入されることがありますが、これは現地のシッパー(熱帯魚を現地で採取して輸入する人)が、ショウテデニィの幼魚とムブの幼魚を判別出来ないことが原因のようです。性格は大人しいようで、10㎝前後にしか成長しないアフリカでもっとも小さなフグです。
パストゥーラトゥス幼魚![]() | パストゥーラトゥス![]() |
■南米
南米淡水フグ

世界一流域面積が広いアマゾン川が流れる南米から輸入される淡水フグは、コロメスス種(南米淡水フグ)1種類のみです。ただし南米淡水フグは、ブラジル、コロンビア、ペルーと広域にわたって生息しているため、模様や体型に違いが見られ、3種の亜種が確認出来ます。 また南米淡水フグに似た南米汽水フグ(クロオビフグ)も南米から入ってきますが、体に入っている黒いバンドの数で両者は容易に判別出来ます。南米淡水フグは目の上から数えるバンドの数が5本なのに対し、南米汽水フグはバンドの数が1本多く、6本あります。























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